お前の涙、俺だけに見せて
episode.3
目が覚めたら、朝の五時だった。
普段起きるより、三十分早い。
かといって、二度寝したらもう起きられなくなるし……
すると、部屋の外で物音がしたような気がした。
お姉さんを起こさないようにそーっと部屋を出る。
「おはよう、花ちゃん。早いのね」
すると、台所に立っていた三神君のお母さんが私に気付き、優しく微笑んだ。
「おはようございます。朝食の準備ですか?」
「久々に千秋の弁当、作るからね。それに、花ちゃんの分も」
「そんな、手伝います」
昨日もごちそうになったし、このまま帰るのもなんだか気が引ける。
「そういえば、花ちゃんは料理が得意だったわね。ぜひ、食べてみたいわ」
「え?」
「ここ、任せてもいい?私、実はまだ眠たくて」
まさかの全パス。
お母さんは大きなあくびを一つした。
本当に早起きしたんだろう。