お前の涙、俺だけに見せて
「行かなくていいよ、花ちゃん。アイツは遅刻すればいーの」
お姉さんは本当に三神君に対して辛辣というか、当たりが強い……
「それはさすがにダメですよ。起こしてきますね」
三神君の部屋の前に行き、ノックする。
「三神くーん。起きてるー?」
私の呼びかけに答えてくれたのは、三神君じゃなくて目覚ましの音。
もしかしなくても、三神君は朝に弱いんだね。
「失礼しまーす……」
中に入ると、規則正しい寝息が聞こえてくる。
「三神君、朝だよ」
「ん……」
すると、三神君はそんな声を出しながら寝返った。
肩を叩くだけじゃ起きないのね……
しょうがない、耳元で叫んでみるか。
「三神君、起きて!」
「うるさい……」
そうささやいた三神君は、私の腕を掴んだ。
そして、勢いよく引っ張った。