お前の涙、俺だけに見せて
「花ちゃんと同居するつもりなら、二度とこんなことしないでよ!もししたら……わかってるでしょうね?」
お姉さんの声色が一瞬にして変わった。
青ざめた顔で、三神君は頷く。
「行こう、花ちゃん」
三神君のことも心配だったけど、私はお姉さんに手を引かれて部屋をあとにした。
「あのバカはまったく……次、ああいうことされたら、殴ってもいいからね?」
「そ、そんな。殴るなんて」
あんな綺麗な顔を目の前にしたら、できないよ。
「そうだ、花ちゃん。今日は学校に連れて行ってあげるよ」
お姉さんは自分の部屋のドアノブを回しながら、言った。
「いえ、そこまでしてもらうわけには……」
「でも、道わからないでしょ?」
……そうでした。
「じゃあ、お願いします」
「任せなさい」
お姉さんは嬉しそうに口角を上げた。
こんなに可愛く笑うなんて……
男の人が放っておかないだろうな。