お前の涙、俺だけに見せて
お姉さんは私の返事を待たず、私を化粧台の前に座らせた。
そして、容赦なく髪をほどいた。
「花ちゃんは高校生なんだから、もう少しファッションに気を使うべきなの」
「はあ……」
お姉さんはあっという間に私の髪を巻いていく。
五分もせずに、私の髪はフワフワになった。
「化粧は薄めにしとくね」
もう返事なんてできない。
お姉さんの手先にどうしても夢中になってしまう。
「よし、完成」
十分もしないうちに、私はまったくの別人と化した。
「これなら、千秋も惚れるわ」
「本当ですか?」
「え?」
お姉さんは片付ける手を止めた。
って、え?
私、今なんて……
「花ちゃん、もしかして千秋のこと……」
「ち、違いっ……」