お前の涙、俺だけに見せて
episode.1
「三神君、少し話したいことが……」
翌日の昼休み、三神君に話しかけたら、私とは真逆で綺麗で可愛い女子生徒が睨んできた。
「ここではできない話?」
「……うん」
この流れを見てる人たちは、告白だって勘違いしているんだろうな。
あながち間違ってないけど。
だから、周りにいる女子の視線がさらに厳しくなる。
でも、逃げるわけにはいかなくて、私はなんとか人気のない西階段のそばに来た。
「それで?告白なら悪いけど……」
私が立ち止まったと同時に、三神君は気だるげにそう言いかけた。
「違うの。えっと、説明すると長くなるんだけど……」
私は三神君の言葉を遮ったはいいけど、語尾を濁した。
「なら、要点だけでいい」
要点……
「私の偽カレをしてもらえませんか?」
一番言いたいことを、簡潔にまとめて、一息に言ってみた。
すると、三神君は……
「嫌だ」