お前の涙、俺だけに見せて
三神君の家から学校まで、そう遠くはなかった。
だから、体力切れになることはなかったんだけど……
美人さんが近くを通ればみんな振り返るんだね。
お姉さんはたくさんの人の視線を集めていた。
その隣を歩く地味な私は、針のむしろだった。
「じゃあね、花ちゃん」
お姉さんは校門の前で、私に抱きついた。
ただでさえ集まっていた視線が、さらに集中する。
「なにやってんだよ、バカ姉貴」
後ろを歩いていた三神君は、お姉さんを私から引き離した。
家出る前にお姉さんとあんな話したから、三神君の顔が見れないよ……
というか、三神君の登場で、女子は騒がしい。
お姉さんは三神君に対する女子の甲高い声が聞きたくないと言って、帰っていった。
お礼、出来なかったな。
「そういえば、西野。今日のお前……」
お姉さんの寂しそうな背中を見送っていたら、三神君が言いかけた。