お前の涙、俺だけに見せて
……なにも、笑わなくたっていいじゃん。
「じゃ、ついでに買い物して帰るか。家、なにもねーし」
どんどん立っていく、夢みたいな予定。
夢なら覚めないで……
「西野?聞いてる?」
ぼーっとしてた私が悪いんだろうけど、三神君は私の顔を覗き込んでいた。
目の前に三神君の顔……
心臓に悪い。
「うん、聞いてる」
「じゃ、放課後な」
三神君は私の頭にポンと手を置き、自分の席に戻っていった。
変な緊張からの解放により、私は思いっきり息を吐いた。
三神君って、あんなふうに言ったりする人だった……?
てっきり、ツンデレ的な感じかと思ってたから、なんというか……
油断した?的な?
まさかの天然タラシ?
だとしても、そんな空気、一切なかった。
なんで急に変わったんだろう……
授業を受けながら、私は一日中そのことばかり考えていた。