お前の涙、俺だけに見せて
放課後、三神君はまっすぐ私の席に来てくれた。
「ちょっと、千秋!最近西野さんばっかり構ってない?」
「なんでそんな地味……」
三神君と遊びたい女子生徒は、なぜか言葉をつまらせた。
私が地味っていうのは、間違いないのに……
なぜ?
「あなたたちは今の彼女を見ても、地味って言えるんだね。じゃあ、彼女以上に可愛くないあなたたちは、地味以下のブスかな?」
突如後ろから聴こえてきた声。
振り向いたら、明星さんと明星さんに腕を組まれて逃げられない野澤君がいた。
「明星さん、かっこいい……」
ちょっと言いすぎかなとも思ったけど。
「どうも。って、違う違う。私、あなたの名前を聞きに来たの」
そっか、そうだよね。
私が明星さんの名前を知ってたのは、噂でだったし。
「西野花です」
「花ね。私のことは麗でいいよ。明星って長いし、変だし嫌いだし」
はっきりと意見を言えるんだな、麗ちゃんって。
ていうか、私は麗ちゃんの苗字好きなんだけどなあ。
「じゃ、また明日!」
「うん、バイバイ」