お前の涙、俺だけに見せて


放課後、三神君はまっすぐ私の席に来てくれた。



「ちょっと、千秋!最近西野さんばっかり構ってない?」


「なんでそんな地味……」



三神君と遊びたい女子生徒は、なぜか言葉をつまらせた。



私が地味っていうのは、間違いないのに……


なぜ?



「あなたたちは今の彼女を見ても、地味って言えるんだね。じゃあ、彼女以上に可愛くないあなたたちは、地味以下のブスかな?」



突如後ろから聴こえてきた声。


振り向いたら、明星さんと明星さんに腕を組まれて逃げられない野澤君がいた。



「明星さん、かっこいい……」



ちょっと言いすぎかなとも思ったけど。



「どうも。って、違う違う。私、あなたの名前を聞きに来たの」



そっか、そうだよね。


私が明星さんの名前を知ってたのは、噂でだったし。



「西野花です」


「花ね。私のことは麗でいいよ。明星って長いし、変だし嫌いだし」



はっきりと意見を言えるんだな、麗ちゃんって。



ていうか、私は麗ちゃんの苗字好きなんだけどなあ。



「じゃ、また明日!」


「うん、バイバイ」

< 59 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop