お前の涙、俺だけに見せて
即答ですか……
それも、爽やかな笑顔で……
「なんで?」
三神君はため息をつきながら、そう言った。
「母が、私の彼氏を見たいって言って……実は、母はもうすぐ死ぬんです。嘘をつきたくはないけど、お母さんの望みを叶えてあげたくて……」
「そうじゃなくて、なんで俺?西野と俺、同クラなだけだし、話したことないよね?」
「それは……」
三神君だったら後腐れなさそうだったから、なんて言えない。
私はいい言葉を見つけられなくて、口ごもってしまう。
すると、三神君はため息をついた。
「要は西野の彼氏として、西野の親に会えってこと?」
だんだん怖くなってきて、もう言葉が出てこない。
私は首を縦に振る。
「わかった」
「ありがとう!さっそく、今日の放課後病院に行けないかな?」
まさかの了承に、思わず声を上げてしまった。
「了解」
三神君はそんな私を嘲笑しながら、そう答えてくれた。