お前の涙、俺だけに見せて
手を伸ばそうとしたら、横からそんな声が。
「他に嫌いなもの、ある?」
「ない」
……トマト以外のもので作るか。
必要なものをカゴに入れ、レジに向かう。
そしてお金を払おうとすると、私が出すより先に、三神君が出してしまった。
「作ってもらうから」
いや、それで言うと私は家賃払わず、居候してるんだけど?
とか反論する隙もなく、三神君は買ったものを袋に入れ、そのまま荷物を持ってくれた。
三神君、惚れてしまうよ!
もう好きだけど!
そして家に帰り、夕食の準備を始める。
「なにか手伝えること、ある?」
三神君は相当暇だったのか、料理はしないと言っていたのに、手伝いにきた。
「うーん……麺、茹でてくれる?」
鍋に水を入れ、コンロの上に置いた。
すると、三神君は水を沸騰させて塩を入れるより先に、麺を入れてしまった。
「……三神君、麺を入れるにはちょっと早いよ?」
「え、違った?」