お前の涙、俺だけに見せて


手を伸ばそうとしたら、横からそんな声が。



「他に嫌いなもの、ある?」


「ない」



……トマト以外のもので作るか。



必要なものをカゴに入れ、レジに向かう。



そしてお金を払おうとすると、私が出すより先に、三神君が出してしまった。



「作ってもらうから」



いや、それで言うと私は家賃払わず、居候してるんだけど?



とか反論する隙もなく、三神君は買ったものを袋に入れ、そのまま荷物を持ってくれた。



三神君、惚れてしまうよ!


もう好きだけど!



そして家に帰り、夕食の準備を始める。



「なにか手伝えること、ある?」



三神君は相当暇だったのか、料理はしないと言っていたのに、手伝いにきた。



「うーん……麺、茹でてくれる?」



鍋に水を入れ、コンロの上に置いた。



すると、三神君は水を沸騰させて塩を入れるより先に、麺を入れてしまった。



「……三神君、麺を入れるにはちょっと早いよ?」


「え、違った?」

< 61 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop