お前の涙、俺だけに見せて


「ごめん、なんでもない」



自分から誘ったわけだし、集中しないとね。



そう自分に言い聞かせて、机に向かう。



「……西野、結構解けてないか?」



三神君はそう言って、私のプリントを覗き込む。



だいぶ、三神君のメガネ姿に慣れてきたかな。



「でも私、全部自信ない……」


「あの先生、解答くれなかったから確認のしようがないよなあ」



三神君はメガネを外し、手を上に伸ばした。



……もう少し、メガネかけててほしかったな。



「俺、もう諦める」



三神君はそう言って立ち上がると、お風呂場に向かった。



その隙に、三神君のプリントを見てみる。



男の人なのに、三神君の字って綺麗だな……



たぶん、私の字より、全然。


羨ましい限りだよ。



そして、三神君のあとに私もお風呂に入ると、今日は寝ることになった。

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