お前の涙、俺だけに見せて
慣れてきたと思ったのに、不意打ちはずるい。
心臓の音がうるさくてしょうがないよ。
野澤君も、麗ちゃんも唖然としている。
「どうしたんだよ」
自分の問題発言がわからない三神君は、不思議そうな顔をしている。
「……いや、なんでもない。いただきまーす」
野澤君の言葉を合図に、私たちは箸を進めた。
食事を終えて、やっぱり三神君が食器を洗ってくれた。
「花と三神、なんだか夫婦みたいだね」
「え!?」
麗ちゃんは私の部屋に入るやいなや、そう言った。
「だって、花がご飯作って、三神が食器を片付ける。すごく自然にやってたじゃん。そしてなにより、三神のセリフ」
「それは私も驚いたけど……」
「実は脈アリだったりしてね」
脈アリって、三神君が私のことを好きかもしれないってことだよね?
「絶対ないよ。三神君みたいな雲の上の存在の人が、私みたいな地味子を好きになるわけないもん」
あれ、自分で言ってて悲しくなってきた……