お前の涙、俺だけに見せて
それから一週間、今までとは比べものにならないくらいのいじめを受けた。
徐々に暴力があったけど、すべて目立たないようなところに傷が残った。
「なあ、西野。最近変じゃね?」
夕飯を食べていたら、三神君が突如そんなことを言ってきた。
「そう……かな?」
三神君には心配かけたくなくて、私は下手な嘘をついた。
「ないならいいんだけどさ、なんかあるなら頼れよ?」
「うん、大丈夫」
絶対にバレてるのに、三神君は私の嘘に気付かないフリをしてくれた。
私から話してくれるのを、待ってるつもりなんだと思う。
でもごめんね、三神君。
どれだけ時間が経っても、三神君に話すことはないと思う。
そして、またさらに一週間が経とうとしたころ。
「西野……本当になにもないのか?」
とうとうしびれを切らしたのか、三神君はそう質問してきた。
「大丈夫だよ、大丈夫」
それなのに、私は答えとは言えないような、答えをした。