お前の涙、俺だけに見せて
すると、三神君は納得のいかないような、不満げな顔を見せた。
「お前さ……いい加減にしろよ?いつまで大丈夫だって言い張る気だよ!疲れてんの、顔に出しておきながら!」
三神君にしては珍しく、大声だった。
正しくは、怒りに任せて怒鳴り散らかしたのかもしれないけど。
「……悪い、言いすぎた。俺、実家に戻るわ。冷静になるまで、帰ってこないと思うから」
三神君はそう言って、軽く荷物をまとめると、家を出ていった。
……三神君が、しばらく帰ってこない。
「私、なにがしたいのかな……」
糸が切れたように、強がりもなくなった。
なにをする気にもなれなくて、二日ほど無断欠席した。
すると、二日目の夕方、お姉さんが家を訪ねてきた。
「花ちゃん!」
「お姉さん……?」
お姉さんはリビングに来て、私を見つけた瞬間、これでもかと言うほど、抱きついてきた。
「今、お茶出しますね」
「いらない。花ちゃんに聞きたいことがあって」