お前の涙、俺だけに見せて
episode.5
いよいよ今日は日曜日!
ダブルデートの日だよ。
なのに、私たち四人は千秋の家に集合していた。
「……テストなんて、滅んでしまえばいい」
机の上に置かれた参考書とにらめっこをしながら、麗ちゃんはそう言った。
そう。
学生である限り、逃げることのできないテストが、来週に迫っていた。
だから、遊園地デートは中止となり、うちで勉強会に変更された。
「花は賢いもんなー」
「千秋だって」
私はまだ見慣れない英単語を眺めながら、千秋に答える。
千秋はというと、ものの数分で飽きたらしく、うつ伏せになっていた。
「……わかんねえ」
そして、一番嫌そうだったのは、野澤君。
勉強が苦手みたいで、全然手が進んでない。
「野澤君、わからないところがあったら、聞いてね。そのために、みんなで勉強するんだし、みんなで解決しよう」
そう声かけると、野澤君は私に向かって拝み始めた。
「マジで花ちゃんが天使に見える……!」