お前の涙、俺だけに見せて
それは気のせいだよ、野澤君。
あなたにとっての天使は、麗ちゃんでしょ。
「じゃあ早速。花、ここ教えて?」
すると、野澤君じゃなくて、麗ちゃんが質問してきた。
嫉妬するかなって思ったのに、それどころじゃなさそう。
私は麗ちゃんに聞かれたところを教える。
「あ、そういうことか!ありがと、花」
そして、麗ちゃんはまた机に向かう。
「麗が一番真剣だな」
「そうだね。負けてられないよ」
私も千秋も心を入れ替え、勉強に取り組む。
野澤君も、負けじと頑張ってた。
そんな緊張した空気の中、誰かのお腹の虫が鳴いた。
「そろそろお腹空いたねー」
麗ちゃんが恥ずかしそうに言った。
みんな、麗ちゃんだとわかったけど、口にしなかった。
あれだけ集中してたら、お腹くらい空くもんね。
「今、なにか作ってくるね」
私は立ち上がり、キッチンに向かう。
「ここだと花の料理付きってのがいいよねー。楽しみ!」