お前の涙、俺だけに見せて


「行く!もう、本気で花が天使に見える……!」



麗はそう言いながら立ち上がった。



天使なのは、私より麗のほうだと思うよ。


見た目も含めて。



「千秋たちはどうする?」



まだ参考書とにらめっこしている、男二人に聞いてみる。



「俺は残る。花に負けたくないし」


「俺も」



わあ、真剣な顔カッコイイ。



なんて、勉強の邪魔になるだろうから、言わなかったけどね。



「行ってきまーす!」



麗、子供みたいに楽しそう。


自然と、その笑顔がうつって、私も頬が緩む。



「花と三神、カップル通り越して夫婦みたいだよ、やっぱり」



家を出てわりとすぐ、麗はそう言った。



「夫婦!?」



って、この前家に来たときもそう言われたような?



「お似合いってことだよ?」

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