お前の涙、俺だけに見せて


私の驚き方がいけなかったのか、麗は訂正した。



「それは麗たちだって」


「それなんだけどねー……嵐士、本当に私のこと好きなのかなって」



その不安、ちょっとわかるかも。



千秋はわかりやすく嫉妬とかするから、想われてるなって思える。


でも、野澤君は女の人なら誰でもいいっていうイメージがまだ……



「私からのアプローチが嫌になって、しぶしぶ付き合ってるんじゃって、思ったりしちゃうんだよね」


「でも、野澤君はわざと麗を嫉妬させて、麗の気持ち言わせてたでしょ?」



やり方はどうかと思うけどね。



「その嵐士の演技に気付けなかったんだよ?今も演技してるかもしれないと思うと、どうしても……」



私は麗にかけるべき言葉が見つけられなくて、黙るしかなかった。



好きだからこその不安、か……



「って、暗くなっちゃったや。楽しい話、しよ!」



麗はまた笑顔に戻っていた。



「ダブルデートの再チャレンジとか?」


「そうそう!テスト終わったら、今度こそ遊園地!」



そうして、私たちはダブルデートでなにをしたいかとか、お互い憧れる恋愛シチュエーションとか、たくさん話した。



「そろそろ戻ろっか」


「うん!楽しかったあ」



私としても、いい気分転換になったかも。



それから家に戻ると、二人はまだ勉強していた。


これは中間試験の結果が楽しみだな。

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