ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
パッと顔を上げるとミライと目が合った。思わず笑みを返す。ミライもニッコリと微笑みを返してきた。その微笑みは、僕の笑顔を見て頭で判断したのに違いない。

(笑顔だと嬉しい。だから笑顔)

そう『理解』しているだけで、そう『感じている』わけじゃない。

(ミライが感じてくれたなら…)

そうすればココロから嬉しさを感じたミライが、僕に本当の笑顔を見せてくれる。

(そんな笑顔、見てみたいな…)

理解してじゃなく、気持ちが自然にミライのココロの中に湧いてくるように出来れば…。

(…フフッ、すっかり所長に乗せられちゃってるよ)

いつの間にそんな事考えるようになってたんだろう。気付いてついニヤけてしまった。

「どうしたの?」

と小首を傾げて尋ねてくるミライ。

「ん、いや、ミライってカワイイなあって思ってね」

とっさに答えると、ミライが嬉しそうな笑みを返してくれた。

「ありがとう」

ニッコリ微笑むミライ。その笑顔が本物にならないだろうかと、改めて思えてきた。
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