ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
 広海君の部屋の前でドアをノックして、三人でそれぞれ名前を呼び掛けると、ごそごそと扉が開いてやつれた姿の広海君が現れた。

「だ、大丈夫か?」

声を掛けると、力なく首を振って返して、ガクッと顔を伏せた。

「死にそう…」

えっ!

「昨日の夜からナンにも食べてないの」

とお腹を押さえる広海君。なんだ、

「心配させるなよ~」

声を掛けて肩に手を掛け、抱きかかえる様に部屋の奥のベッドへと連れて行った。

「薬は飲んだの?」

とミライの問い掛けにかろうじて頷く広海君。

「ウン、病院に行った方がイイね。車で来たから送っていくよ」

と声を掛けた所長に、広海君がブンブンと首を振って身を縮めた。

「おフロも入ってないし、こんな格好じゃ行けない」

…って、こんな時に。

「ハハ、そう言う元気があるなら、大丈夫かな」

マッタク、ナニ気にして丸まってるんだか。

「お腹空いてる?おかゆ作るけど、お米ある?」

としゃがみ込んだミライに、広海君が無いと首を振って返した。
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