ふたりの彼女と、この出来事。(旧版)
「ウン。冬休みに娘たちの相手をしてもらいたくてさ」

って、そんな事で?

「だから、その間はカメラはこっちに付く事になるからね。ずっと付きっ切りだったから、君だって息抜きが必要だろ?」

と肩をポンと叩いてくる所長。

「そういうコトですか」

気を遣ってくれたんですね所長。

(でも、)

別にミライと一緒でもいいんですけど…。

「正月もずっとこっちの家に居るからさ、いつでも好きな時に遊びに来てよ」

とニッコリ微笑む所長。

「あ、はい、わかりました」

ちょっとぐらい寂しいのはガマンしますよ所長。

「あっ、そうそう君と、広海君、」

と、所長が振り返って奥に目を遣った。

「君たちにはこの一年、色々苦労を掛けたから労ってあげたいって思ってるんだけど、どうだい?ボクが奢るからさ」

と、聞いた広海君がパッと笑顔で立ち上がった。

「ホント?ぜひぜひ所長!」

と目を輝かせる広海君。オゴリって言葉には敏感だな。
< 281 / 324 >

この作品をシェア

pagetop