探偵喫茶へようこそ
「……あの二人、離婚してなかったんだな」
悪ふざけの時間を自ら作り、自ら終わらせた海は、真剣に聞いた。
「そうだ。それに、別居中というわけでもない。だからあたしは不思議だったのだ」
「三崎夢里に近付けないってやつか?」
「ああ」
知由の顔はどこか難しそうだった。
「実はお前に会いたかった……とか?」
海はからかうように言った。
それを聞いたら、知由は鼻で笑った。
「ならば回りくどいことをせず、会いに来ればよい」
「だな」
同じく、海も鼻で笑う。
「……これはあたしの勝手な予想だから、聞き流してくれていいのだが……あの二人はあたしを本当に誘拐しようとしている計画を知り、あたしを守るために誘拐したのではないか、と思うのだ」
知由は手元にある紙で遊ぶように、紙をめくる。
見てくれは子供が遊んでいるようだが、声のトーンは暗かった。
「根拠とかは?」
「聞いていなかったのか。あたしの勝手な予想だと言ったであろう」
海の質問に呆れたように返す。