探偵喫茶へようこそ
そしてなぜか睨み合いが始まる。
「まあどうでもいい。確かに、そこだけが気になるな……あたしが二人の娘だということは誰も知らなかったから、誰かが話したとは考えにくい……」
このまま無駄な時間を過ごすわけにはいかないと思った知由が、先に折れた。
「本人に聞きに行くか?」
海の提案に、知由は開いた口が塞がらない。
「……誰が?」
「俺が」
暇だし、と付け足す。
考えがまとまったのか、知由は冷静に言う。
「……やめておけ。そもそも、どう聞くのだ」
「……だな」
自分で提案したはいいが、知由の言うように質問がない。
単刀直入に、「どうやって彼女のことを知ったのか?」などと聞けるはずがない。
もし聞いたとしても、嘘をつかれるのがオチだ。
「そうだ、一弥たちはどうなっている?」
ずっとこもってパソコンと向き合っていた海は、他がどう動いているか、知らなかった。
「一弥はボディガードになったらしい。滋はそのまま尾行中だ」