探偵喫茶へようこそ
「殺しにかかるだろうな」
その言葉を聞いて、雪兎はさらに言葉を返そうとしたが、飲み込んだ。
もうメールは送っている。
今さら何を言ったって後の祭りだ。
そう思った雪兎は、ため息をつきながら座った。
「……一弥さんには?」
「言ってない」
「ちぃちゃん……」
もう言葉が出てこなかった。
「雪兎の言い分もわかる。だが、知由のやり方も間違いじゃない。このまま、もしその『ひろかず』が成瀬を襲えば、奴を捕まえることが出来る」
「そうだけど……」
正広に後押しされても、納得とまではいかなかった。
きっと、もっといい方法があったはず。
でも、思いつかない。
このまま、夢里が襲われるよりも一弥が襲われる方がいい。
相手は男なわけだし、女性を怖い目に遭わせるのはよくないから。
でも、頭でわかっていても、誰かを危険に晒すということが、どうしても賛成出来なかった。
「それで? わざわざ俺に話しに来たのには何か理由があるんだろ?」
そんな雪兎を置いて、正広は話を進める。
「一弥の尾行をしてほしい」
「なるほど。現行犯逮捕ってことか」