探偵喫茶へようこそ
「待て、知由」
そんな雪兎を、まるで子供を見るような目で見ていた知由を、正広は呼んだ。
「なんだ?」
その流れのせいか、知由の優しさと思われるものを感じる。
「何をする気だ?」
「別に。少し昔話を聞いてやろうと思ってな」
「……そうか」
それだけで済むと思わない正広は、安心しきれなかった。
「安心しろ。今さらアイツらと暮らそうなどとは思わない」
それを汲み取ったのか、知由は可愛げなく言った。
「いや、俺が心配したのはそこじゃない」
「ではなんだ」
知由は意外と言うような表情をする。
「お前がその二人に仕返しでもするのかと……」
それを聞いた途端、知由は悪巧みを思いついた子供のように笑った。
「それをするかどうかを確かめるために、話を聞くのであろう?」
その顔に、正広は苦笑いするしかなかった。
「……仕返しせず済むよう、祈っている」
知由はその言葉に、鼻で笑った。
「では、またな」
そして知由と雪兎は警察署をあとにした。