探偵喫茶へようこそ
それから数ヶ月後、夢里は無事出産を終えた。
運が良かったのか、夏休み中の出産となったため、夢里は学校を休まずに済んだ。
「夢里!」
洋一が夢里の病室に着いたのは、午後六時ごろだった。
「洋一くん……仕事お疲れ様」
額に汗を浮かべた洋一に、夢里は微笑みかける。
「ごめんな、遅くなって……」
「ううん、大丈夫」
洋一はネクタイを緩めながら、ベッドのそばにあった椅子に座った。
「お義母さんは?」
「帰っちゃった」
「そっか……可愛い女の子だな」
近くにいた自分の娘を見て、気持ちが穏やかになる。
「うん、本当に。そうだ、私ね、この子の名前、考えてみたの」
「どんな名前?」
洋一が聞くと、夢里は紙に漢字を書いた。
それを見て、洋一は読み上げる。