探偵喫茶へようこそ
そしてどうして自分が倒れたのかを思い出した夢里は、勢いよく体を起こした。
「知由は……!?」
洋一は夢里の体を、ゆっくりと倒した。
「わからない。ただ、俺に考えがある」
洋一は緊張した表情で、自分の考えを話した。
「知由を誘拐する!? どうして……!」
洋一の案を聞いて、夢里は疑問を持たずにはいられなかった。
守らなければいけないのに、どうして怖い目に遭わすようなことを、などの疑問が出て止まらなかった。
だが、それは洋一に止められた。
「夢里が精神科に通っていたとき、俺は施設に何度も足を運んで、知由のことを聞いてきた。やっぱりどこに引き取られたかは教えてもらえなかったが、知由がその施設でどんな子に育ったかは、聞いてきた」
「それで……? 知由は、どんな子に……?」
知りたいという気持ちよりも、知ることが少し怖いという気持ちがあって、夢里は躊躇気味に聞いた。
「子供とは思えない頭脳、容姿、性格をしていたらしい」
確かに、送られてきた写真は、どう見ても九歳の少女が持つ雰囲気をしていなかった。
まあ、頭脳も性格も計り知れないが。
「ということは……私たちが親だって、知由は知ってるってこと……?」
それは、夢里が一番恐れていたことだった。