探偵喫茶へようこそ


そしてどうして自分が倒れたのかを思い出した夢里は、勢いよく体を起こした。



「知由は……!?」



洋一は夢里の体を、ゆっくりと倒した。



「わからない。ただ、俺に考えがある」



洋一は緊張した表情で、自分の考えを話した。



「知由を誘拐する!? どうして……!」



洋一の案を聞いて、夢里は疑問を持たずにはいられなかった。



守らなければいけないのに、どうして怖い目に遭わすようなことを、などの疑問が出て止まらなかった。



だが、それは洋一に止められた。



「夢里が精神科に通っていたとき、俺は施設に何度も足を運んで、知由のことを聞いてきた。やっぱりどこに引き取られたかは教えてもらえなかったが、知由がその施設でどんな子に育ったかは、聞いてきた」


「それで……? 知由は、どんな子に……?」



知りたいという気持ちよりも、知ることが少し怖いという気持ちがあって、夢里は躊躇気味に聞いた。



「子供とは思えない頭脳、容姿、性格をしていたらしい」



確かに、送られてきた写真は、どう見ても九歳の少女が持つ雰囲気をしていなかった。



まあ、頭脳も性格も計り知れないが。



「ということは……私たちが親だって、知由は知ってるってこと……?」



それは、夢里が一番恐れていたことだった。

< 138 / 156 >

この作品をシェア

pagetop