探偵喫茶へようこそ
「多分な。でも、それはネットでの情報。つまり、知由は俺たちに捨てられたと思っているだろう」
「そう、だよね……」
ネット情報だと、自分たちがどれだけ知由のことを大切にしているか、なんて伝わるわけがない。
だから、夢里は知られることを恐れたのだ。
「恐らく、知由に顔も知られている。だから、俺たちが知由に近付いて、知由を近くに置いておくことは不可能だ」
洋一は悲しい判断に、目を伏せるしかなかった。
「どうして?」
「嫌われてるだろうからね」
やっぱり、と呟き、夢里は黙り込んだ。
「だから、俺が誘拐してくれそうなグループに頼んでくる」
洋一の提案に、夢里は驚かずにはいられなかった。
「そんなことしたら、洋一くんは……!」
「知由の命を守ることのほうが、大事だ。今、俺たちはやっと知由を守れるんだ」
真剣な洋一を見て、やめてほしい、なんて言えなかった。
「……わかった」
「じゃあ、お義母さん、夢里のことお願いします」
洋一はタイミングよく担当医と戻ってきた京子にそう言い、病室をあとにした。