探偵喫茶へようこそ


「多分な。でも、それはネットでの情報。つまり、知由は俺たちに捨てられたと思っているだろう」


「そう、だよね……」



ネット情報だと、自分たちがどれだけ知由のことを大切にしているか、なんて伝わるわけがない。



だから、夢里は知られることを恐れたのだ。



「恐らく、知由に顔も知られている。だから、俺たちが知由に近付いて、知由を近くに置いておくことは不可能だ」



洋一は悲しい判断に、目を伏せるしかなかった。



「どうして?」


「嫌われてるだろうからね」



やっぱり、と呟き、夢里は黙り込んだ。



「だから、俺が誘拐してくれそうなグループに頼んでくる」



洋一の提案に、夢里は驚かずにはいられなかった。



「そんなことしたら、洋一くんは……!」


「知由の命を守ることのほうが、大事だ。今、俺たちはやっと知由を守れるんだ」



真剣な洋一を見て、やめてほしい、なんて言えなかった。



「……わかった」


「じゃあ、お義母さん、夢里のことお願いします」



洋一はタイミングよく担当医と戻ってきた京子にそう言い、病室をあとにした。

< 139 / 156 >

この作品をシェア

pagetop