探偵喫茶へようこそ
それから数日後、洋一は申し訳なさそうに夢里の前に座っていた。
「失敗した!? それで、知由は?」
夢里は冷静さを失い、洋一に言った。
「思いっきり喧嘩売られた。思ってた以上に恨まれてるらしい」
「そんな……」
夢里は恐れていたことが現実となっていたと知り、声を失った。
「そうだ、洋一くんはどうしたの?」
「そのまま嫌われてきたよ。ただ、知由は俺が夢里を殺そうとしてる、と思ってる」
「え……?」
夢里の頭は混乱していた。
全く理解が追いつかない。
「恐らく、知由はあの脅迫状の存在を知っているんじゃないかな。そして最後のこの名前」
「嘘……気付かなかった……」
そこには『洋一』と書かれていた。
「そう。ここに俺の名前が書いてある。だから、そう勘違いしたんだと思う」
「そっか……これ、私のファンなのに……」
そのファンは、夢里の耳にも入っているくらい、有名な存在らしい。
「でも、知由が危険なことに変わりはないんだ」
夢里は誰のせいだ、というような目を洋一に向けた。
洋一は苦笑し、目をそらす。