探偵喫茶へようこそ


「洋一くん、知由に実際に会ったんだよね?」



夢里はため息混じりに聞いた。



「うん、会った」


「知由がどこにいるか、なんてわからない……よね?」



聞きながら自信がなくなった夢里は、語尾が小さくなっていた。



「いや、誘拐を頼んだ一人が報告してくれた。知由は、この喫茶店にいるらしい」



洋一はあるホームページを開き、夢里に見せた。



探偵喫茶。


知由が雪兎たちとやっている喫茶店のホームページだ。



「……私、知由のところに依頼しに行ってくる」


「え?」



夢里の発言に、洋一は耳を疑った。



「実際に、知由に会ってお願いすればいいのよ! そうしたら、知由が危険になったらすぐにわかる!」



夢里はいい案を思いついたと、嬉しそうに言う。



「でも、夢里……お前、知由に会って大丈夫か?」


「大丈夫! 私は演技派女優。ちゃんと演技してみせる」



夢里は胸を張る。



「……わかった」



洋一は夢里の力、自信を信じてそう言うしかなかった。

< 141 / 156 >

この作品をシェア

pagetop