探偵喫茶へようこそ
「……知由が生意気でした。お母さんショックで泣きそうです」
探偵喫茶から帰って、夢里は食卓テーブルに突っ伏し、項垂れた。
「上手くやり過ごせたか?」
洋一は苦笑気味に尋ね、夢里の前にコーヒーを淹れたコップを置く。
「……多分。でも、依頼受けてくれないって」
夢里はコーヒーから出る湯気を悲しげな目で見つめる。
「……打つ手なし、か」
洋一はそう呟き、コーヒーを飲む。
「せっかく知由に会えたのに……これで終わりなんて絶対嫌!」
「俺もだよ」
態度に差はあれど、二人とも同じ気持ちだ。
だが、もう出来ることがない。
「……全部、本当のこと話そうかな」
「知由が素直に信じると思うか?」
夢里は少し考え、首を横に振る。
「どうすればいいのさー……」
そしてまた、突っ伏した。
「こっそり見張るとか?」
洋一は最終手段とも取れる提案をすると、夢里は顔だけあげた。