探偵喫茶へようこそ

5

「あとは、知由が知ってる通りかな」



夢里のその一言を最後に、店内は静寂に包まれた。



すると、知由の頬に一筋の涙が流れた。



それをきっかけに、知由の目から、涙が溢れだした。


知由はそれを両手の甲で拭う。



「ちぃ……」



雪兎が癖で、知由のところに行こうとしたが、海がそれを止める。



「お前の出る幕じゃない」



海は小さい声で、かつしっかりと言った。


雪兎は上げかけた腰を、再び下ろした。



そして知由を抱きしめたのは、言わずもがな、夢里だった。



「あたし、嫌われて、なかった……」



そう言って夢里の腕の中で泣く知由は、ようやく年相応の、子供らしい一面を見せた。



「知由……やっと会えた……」



夢里もまた、涙を流している。


さらに、嬉しさのあまり、夢里は知由を抱く力を強めた。



そして泣く二人を、洋一はそっと包んだ。



「……おい、行くぞ」



ただただその三人を眺めていた雪兎を、一弥が引っ張り、外に連れ出した。