探偵喫茶へようこそ
そう答えたレジーナは、なんとも言えない顔をしていた。
内容からして、知由を恨むような顔をするかと思うが、どちらかと言うと同情の色が見える表情をしていた。
「自分の都合のいいように考えやすいのが人間。どれだけ相手のことを理解しているつもりでも、実際は三割程度しか理解出来てない。言葉を使ったとしても、五割くらい」
「滋?」
いきなり何を言い出す、というような目が、滋に集中する。
「これ、みさきちゃんが僕に言ってくれた言葉なんだ。夏芽に大切に思われてたなんて……て、言ったとき」
滋はそう言って、はにかんだ。
「まさに、滋と同じ状況だね」
夏芽も照れているようで、同じように笑う。
「僕と夏芽は、一年くらいしか離れてなかった。でも、みさきちゃんたちは違う。九年だし、その間一度も会ってないんだ。勘違いして当然だよ」
「わかってるわよ。誰も三崎を責めてなんかいないから」
レジーナの言葉に、みんな頷く。
滋は数回瞬きしたのち、照れながら頭をかいた。
「なんだ、みんなそうだったんだ」
「せっかくいいこと言ったのに、残念だったな」