探偵喫茶へようこそ
海は滋をからかうように言った。
滋は頬を膨らませて拗ねた。
それがまた、全員を笑わせる原因となったのだが。
「にしても、三崎にかける言葉がねえな」
「ないな」
ひとしきり笑った一弥に続き、海が言った。
「お疲れ様、なんて言えないし……」
「よかったね、も違うよね」
夏芽とレジーナも考えていたら、急にドアが開いた。
「お前ら、うるさいぞ」
出てきたのは目を腫らした知由。
思う存分泣いたらしい。
「みなさん、ありがとうございました。そして、迷惑かけてごめんなさい」
それから続いて出てきた洋一、夢里が頭を下げた。
「気にしないでください。僕たちはちぃちゃんの願いを叶えただけですから」
雪兎は立ち上がり、いつものように癒しの笑顔を見せる。
「それで、三崎。お前どうするんだよ」
そんなやり取りを無視し、一弥は知由に聞いた。
「どうって、初めから言っていたであろう。あたしはこの二人と暮らす気はない」