探偵喫茶へようこそ
知由は鼻水をすすりながら答えた。
普段ならありえない行動に、全員が驚く。
「……いいんですか?」
雪兎が控えめに聞くと、夢里は真剣な顔をして答えた。
「よくないですよ」
「夢里……」
大人げない態度に、洋一は思わずため息が出る。
「だって、こんな近くに知由がいるのに。一緒にいられないなんて、納得いかない」
その様子は、まるで子供が駄々をこねるようだった。
「あのな……」
「でもね。私も洋一くんも仕事があるし、絶対に知由に寂しい思いをさせると思うの。だから、このままでいい」
夢里は洋一の言葉を遮って、笑顔で言った。
そんなことを言うと思っていなくて、洋一は目を丸くした。
「ねえ、知由。またここに来てもいい?」
夢里は知由の前にかがみ、首を傾げる。
「……好きにしろ」
「知由、大好き!」
そして、また知由を抱きしめた。