探偵喫茶へようこそ
知由は納得し、雪兎が淹れていたコーヒーを飲んだ。
「わあ、怖い」
すると、横で夢里が声を上げた。
だが、知由は冷めた目で夢里を睨む。
「……棒読みにもほどがあるぞ」
「だって、そんなこと気にしてたら芸能人なんてやってられないもん」
開き直っているようにも取れるが、知由はそうだな、と腑に落ちた。
「そう言えば、夢里さんのスクープ的なもの、聞きませんね。事件になったのに」
雪兎は洗い終えたカップを拭きながら思い出した。
「お金の力は怖いのよ」
そしてなぜか、夢里は胸を張って言った。
そんな夢里に、知由は呆れて言葉が出ない。
「あの、すみません……」
すると、弱りきった一人の女性が、雪兎を呼んだ。
「はい、なんでしょう?」
「ここに探偵がいる、という噂を聞いてきたんですけど……」
彼女の言葉に、知由は顔色を変える。
知由のやる気を横目に、雪兎は彼女に答える。
「ご依頼ですね。探偵喫茶へようこそ」