探偵喫茶へようこそ
電話に出た瞬間、一弥は滋の言葉を遮って叫んだ。
「ちょっと、落ち着いてよ。何があったの?」
「雪兎と海が消えた……!」
一弥の声は知由にも聞こえていたため、知由は急いで車に向かう。
だが、それを邪魔するのは背の高い草。
知由は簡単に通れる場所を探すが、見つからない。
「行くよ、みさきちゃん! 夏芽!」
滋は来たときと同じように知由を抱え、夏芽の手を引っ張って車に向かった。
「ちょっ、滋!? 何があったの?」
「話は後で! とにかく、車に乗って!」
滋は混乱している夏芽を半ば強引に車に乗せた。
「ねえ、何があったの?」
「僕の友達がいなくなったんだ! 本当は夏芽の話をたくさん聞きたかったけど……」
「何言ってんの。私の話はいつでも聞けるじゃん。気にしないでよ」
夏芽は後部席から滋の肩を何度か叩いた。
「いなくなったのはウサギと海か……どうしてこの二人が……」
喫茶店に到着するまで、知由は二人が消えた理由を考えていた。