探偵喫茶へようこそ
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「一弥!」
喫茶店はもう閉店してあったため、滋は勢いよくドアを開けて中に入った。
一弥は頭を抱えて、カウンター席に座っていた。
「滋……三崎……そうか、見つかったんだな」
一弥は知由と滋の後ろに立つ夏芽を見て、そう呟いた。
振り向いた一弥は、見るからに不安げな顔をしている。
「うん、見つかった。それで、どうして海とゆっきーが消えたの? 神隠し?」
滋は一弥の隣に座る。
「そんなわけあるか。正確には、連れ去られたのであろう、一弥」
「……ああ」
「どういうこと?」
「車の中で考えていたのだ。なぜ、あの二人なのか。海とウサギには、共通点が見つからないから妙だと思ってな」
知由は話しながら海のパソコンのところへ移動する。
「だが、よく考えればあったのだ。二人はそれぞれ異名を持っていた。天才ハッカー、ラビットと空海」
それを聞いた一弥と滋は目を見開いた。
「世界で一位がラビット、二位が空海。その二人が同時に抜けたことにより、三位が必然的に一位になる。だが、そんなことで一位になったハッカーは、どう思う」
ノートパソコンを開き、電源を入れる。
二人ともそれに触れる余裕はなく、必死に考える。
「実力で一位を取れたわけじゃないから……」
「二人を直接倒すため、誘拐を……」
滋、一弥の順で言った。
知由は楽しそうに口角を上げる。