探偵喫茶へようこそ
「反撃をするぞ、二人とも。海は自力でなんとか出来るであろうが、ウサギは無理だ」
「そっか、ラビットはみさきちゃんだったもんね」
「そういうことだ。だが、現世界一の実力では、私の情報はハッキング出来ない。よって、ラビットはウサギであるという偽情報に踊らされたのだ」
知由はそう言いながら、キーボードを叩く。
「居場所はわかった。さて、あとはお前たちの力次第だが?」
「俺は行くよ。お前は俺の戦闘能力、買ってくれてるだろ?」
知由が来たことで、一弥は自信を取り戻したらしい。
立ち上がり、見せる表情は知由にそっくりだ。
「乱魔時代に鍛え上げられたものは、馬鹿に出来ないからな」
知由はパソコンを閉じ、お気に入りの黒い鞄にそれを入れる。
そして、ドアに向かった。
「出来れば消し去りたい過去だがな」
そのあとに一弥が続く。
「それで、滋はどうするのだ?」
ドアノブに手をかけたと思えば、知由は振り返った。
滋はカウンター席から動いていない。
「夏芽を危険な目に合わせたくないし、僕は……」
「何言ってんの、滋。友達が誘拐されたなら、助けに行かないと!」
滋の言葉を思いっきり遮った夏芽。
「私なら大丈夫! それに、滋がいなくなった理由って、怪盗乱魔の仲間だったからでしょ?」