探偵喫茶へようこそ
夏芽の言葉を聞き、知由は反省した。
滋は夏芽に知られまいと努力をしていたのに、こうあっさりとバラしてしまったのは、知由のせいだからだ。
「……そうだよ」
滋は言い逃げ出来ない状況に観念し、その場に立ち上がった。
「よし、僕も行く! 僕は戦闘向きじゃないから、力になれるかわからないけど……」
「滋の友達を救いに行くなら、私にも行かせてほしい」
「死んでも知らないからな」
そう言う知由の表情は、遠足に行く前の子供のようだった。
全員が車に乗ると、一弥がエンジンをかける。
「てか、海のパソコンは使えたんだね」
滋は助手席でパソコンのキーボードを叩き続ける、知由に言った。
「私のパソコンをハッキングしたことにより、ラビットと空海が一緒にいると知ったのだろう。だから、ハッキングする必要がなかった」
「世界二位のほうが侵入しやすいんじゃねーの?」
一弥は運転に集中しつつも、質問をする。
「私のはウサギも使えるようにハッキング対策は甘くしてあるのだ」
「……セキュリティが厳しいのに、海のパソコンを使ってるみさきちゃんは何者かな?」
「海より上なのだから、これくらいなんてことはない」
「あのー。少しだけでもいいんで、状況を教えてくれない?」
すると、滋の隣に座っていた夏芽が尋ねた。
知由は小さくため息をつく。