探偵喫茶へようこそ
無言となってしまったため、滋はチャンスと言わんばかりに話題を提供した。
夏芽は知由の手元に集中していた視線を、滋に移す。
「一年間、僕のことをあの場所で待ってたの?」
「まさか。最初は心当たりのあるところを歩いて回ってたの。それでも見つからなくて、最後の希望としてあそこに行ったのは……二ヶ月くらい前」
「二ヶ月も……」
滋は申しわけなさがこみ上げてくる。
「と言っても、たまに家に帰ってたよ。ずっとあそこにいたら、死んじゃうし」
それに気付いた夏芽は、慌ててフォローした。
「あのメッセージはどうして作ったの?」
滋はもう持ち直したらしく、質問を続ける。
「あれは、私があそこに居られないときだけ、机の上に置いてたの。滋と入れ違いになりたくなかったし」
「……よく考えたね」
夏芽は滋が本当にそばにいるんだと実感し、嬉しくて自然と笑みがこぼれる。
「いい雰囲気のところ悪いが、到着したぞ」
車を止めた一弥は、二人を冷たい目で見ていた。
滅びろとでも言っているようだ。
「三崎、行けるか?」
「ああ。ちょうど終わった」