探偵喫茶へようこそ


しかし、知由はまた笑みを浮かべている。



『では、スタートだ』



相手の言葉と同時に、電子音がした。


ドア上部に、小さな爆弾がある。



少しずつ数が減っていると思えば、急に止まった。


三人は目を疑う。



「終わった」



後ろでは知由がパソコンをいじっていたらしく、もう爆弾の解除をしたらしい。


ほんの数十秒のことだった。



「……マジか」


「天才なのは知ってたけど、さすがに……すごすぎ」


「何をしている。早く次に行くぞ」



知由はパソコンを持ち、棒立ちしている三人の先を行く。



ドアを開け、中に入ると目の前の壁に、右向きの矢印が印刷された紙が貼られていた。


知由はそれに従って右に進む。



そして、次もまた十秒程度で突破した。



「……ねえ、一弥。僕たちが来た意味、ある?」


「言うなよ、滋。今必死に目、背けてたんだから」



三人は大人しく知由のあとをついて行くだけだった。



次のドアまでに、端から端まで歩かされた。

< 29 / 156 >

この作品をシェア

pagetop