探偵喫茶へようこそ
「レジーナと言ったか。これからどうするつもりだ」
「……私、ラビットの弟子になる」
さっきまで恨みを向けていたはずなのに、憧れの視線を知由に向けた。
「……はあ?」
しかし、知由は今日一番の嫌そうな顔をした。
「いつか、アナタを越えて、実力で一位を取ってみせる!」
レジーナの熱に、知由はどんどん顔をしかめていく。
「……勝手にしろ」
知由は何を言っても無駄だと判断し、諦めて工場を出た。
そしてレジーナを含め、七人が車に乗った。
「どうしてファミリーカーで来た、一弥」
知由はますます不機嫌そうに、助手席で呟いた。
「しょうがねーだろ。俺の車なんだし」
「家族どころか、彼女すらいないくせに」
「うるせー、これから出来るんだよ」
「両思いの滋たちのほうが先に結婚しそうだがな」
「なっ……!」
知由の言葉に反応したのは、一弥だけでなく、滋と夏芽もだった。
「余計なこと言わない!」
知由はイタズラが成功した子供のように、笑みを浮かべた。