探偵喫茶へようこそ
「ああ、そうだ。堂々と天才少女三崎知由が即解決、と書いてある」
夏芽の質問に答えたのは、意外にも海だった。
海はパソコンの画面を夏芽に見せる。
夏芽と滋は顔を見合わせ、苦笑する。
「そんなことより、お前。宮野さんに会いに行ったか?」
「はい。あとこれ、依頼代だそうです」
夏芽は海の質問に答えながら、鞄の中から茶色の封筒を取り出し、雪兎に渡す。
「直接渡してもらわなきゃいけなかったんだけど、ちぃちゃんがあの調子だからね……」
雪兎はもうしわけなさそうに、その封筒を受け取った。
「お客さんも入れられないよねー」
滋は雪兎が淹れたコーヒーを、喉に通す。
「ゆっきー、また腕上げた? すごい美味しいよ!」
「そうかな? ありがとう」
雪兎は照れ気味に微笑んだ。
「知由ちゃんがあんなに情報が流れることを嫌がる理由って、なにかあるんですか?」
夏芽も、雪兎が淹れたコーヒーを飲む。
「そういえば、聞いたことないですね」
「雪兎が知らないなら、誰も知らねーな」