探偵喫茶へようこそ


「三崎がいなくなった!」



急いで店に戻るやいなや、一弥はそう叫んだ。



「今度はみさきちゃんって……」


「お前はどうしてそう、人がいなくなる瞬間に出会うんだ」


「出会いたくて出会ったわけじゃねーよ! おい、雪兎……」



一弥は誰よりも味方になってくれると信じている、雪兎を見た。



だが、雪兎は動揺していて、一弥の呼びかけも気付いていないようだった。



「まあ、そのうち帰ってくるだろ」


「だといいが……」


「……探しましょう」



海の言葉が耳に入っていなかったのか、雪兎にしては低い声で、そう呟いた。



「探すって、どうやって? 俺、三崎がいなくなる瞬間、見てないけど?」


「僕のお父さんに頼ります」



その場にいる全員が、お前自身の力で探せよ、と心の中で突っ込んだことは、雪兎には言えない。



そして、雪兎は携帯を取り出した。


するとその瞬間、雪兎の携帯が鳴った。



「お父さんだ。ちょうどよかった」



雪兎は通話ボタンを押し、知由のことを話そうとした。


だが、それよりも先に、雪兎の父親、正広が要件を言った。

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