探偵喫茶へようこそ
未だに夏芽を危険に近付けたくない滋は、渋った。
しかし逆に、夏芽は目を輝かせている。
「滋、連れていけ。ここに残っても、ソイツが出来ることは一つもない」
このときばかりは、滋は海の性格を恨んだ。
「……わかった」
だが、海の言うことも一理あるため、滋はそう言わざるを得なかった。
「やったー!」
夏芽は語尾に感嘆符と言うより、音符を付けて喜んだ。
そういうわけで、滋は夏芽を連れて、情報収集に向かった。
喫茶店に残ったのは、海とレジーナ。
「三崎を見つけ出せばいいのよね?」
レジーナは自分のパソコンを取り出し、キーボードを叩く海に聞く。
「ああ」
海は画面から目を離さずに答える。
その態度が気に入らなかったレジーナは、さらにライバル心を燃やした。
「……負けないから」
それから二人に会話は一切なく、店内にキーボードを叩く音が響くだけだった。