探偵喫茶へようこそ
「それで、どんな事件なの?」
「誘拐だ」
正広は捜査本部となっている会議室のドアを開けた。
そのドアの隣には『連続少女誘拐事件捜査本部』と筆で書かれた紙が貼られている。
「誘拐で解決出来ないってどういう状況だよ」
その紙を横目に、一弥も中に入る。
すると、正広と一弥の言葉を聞いた刑事が、一弥を睨んだ。
警察の人間以外がここに立ち入るとなると、多くの人が睨む。
だが、ここにいる人はほぼ、二人のこと……というより、知由のことを知っている。
だから、目を瞑っているのだ。
まあつまり、今睨まれているのはそういう意味でないということだ。
「喧嘩になるから、一弥さんは黙って聞いててください」
雪兎が一撃したことにより、刑事たちは自分の仕事に戻った。
「……さーせん」
一方、一弥はますます小さくなった。
「……で、どんな誘拐事件なの?」
一弥が大人しくなったことをしっかりと確認し、雪兎は椅子に座りながら質問を続けた。
その隣に一弥、前に正広が座る。
「この辺りの低学年女子生徒の誘拐なんだが、ここ数日で何件も起きている。そしてその犯人が見つからないんだ」
「情報は?」