探偵喫茶へようこそ
普段の姿からは想像出来ないくらい、雪兎は真面目な顔をしている。
「これといった情報が集まらない」
「なんだそれ。なんで何件も起きてんのに、情報が集まんねーの?」
黙って聞いていろ、と言われたのに口を挟んだ一弥。
雪兎が流し目で睨んできたが、気付かぬふりをした。
「目撃者が少ないからだ」
そして正広は、一弥から喧嘩を売られたと考えず、ただの質問と捉えた。
コイツ口悪かったな、と思ったからという理由は想像つくだろう。
「目撃者が少ない……? 低学年の子を誘拐するとすれば、昼間から夕方……つまり、人がたくさんいる時間帯なのに……?」
雪兎はまるで探偵のように考え込んでいる。
「ついでに言うと、防犯カメラにも映っていなかった」
「……確かに、ちぃちゃんの力に頼りたくなるね」
答えが出なくなり、苦笑しながら言った。
正広は悔しそうな表情を浮かべている。
「そう解決したところ悪いんだけどさ、三崎がその犯人に誘拐だされたとは思わないんだ?」
そんな中、一弥は懲りずにまた口を挟む。
しかし、今度は雪兎が睨むことはなかった。
「知由が誘拐……考えたくはないが、その線もあるな」