探偵喫茶へようこそ


だから、友奈はそれを聞いたのだ。



「……この頭脳を狙われたことが何度もあった。恐らく今回も同じだ。そして、あたしの誘拐を怪しまれないようにするために、お前たちも誘拐された」



考えている途中で質問されたのが気に食わないのか、知由は淡々と答えた。



「それ、根拠でもなんでもないわよ。むしろ、自慢にしか聞こえない」



友奈は呆れたように言った。



「だが事実だ」



二人は睨み合い、火花を散らした。



「ケンカはダメ!」



その間に入ったのは、この中で一番小さい少女だった。


年下に仲裁されて、二人は恥ずかしく思った。



「二人とも、仲良くだよ?」



そう言って頬を膨らます少女は、知由よりも可愛かった。



「お前、名前は?」


「周莉桜(あまねりお)! えっと、七歳になったよ!」



知由の質問に、こんな満面の笑みで答えたのはきっと、莉桜が初めてだろう。


だいたい顔をしかめられるか、怯えられているから、知由はこの反応に少し戸惑った。



「ついでにあと二人も名前を教えろ。あたしは三崎知由だ」



知由は莉桜から逃げるように、残りの二人に質問を投げた。

< 57 / 156 >

この作品をシェア

pagetop