探偵喫茶へようこそ
だから、友奈はそれを聞いたのだ。
「……この頭脳を狙われたことが何度もあった。恐らく今回も同じだ。そして、あたしの誘拐を怪しまれないようにするために、お前たちも誘拐された」
考えている途中で質問されたのが気に食わないのか、知由は淡々と答えた。
「それ、根拠でもなんでもないわよ。むしろ、自慢にしか聞こえない」
友奈は呆れたように言った。
「だが事実だ」
二人は睨み合い、火花を散らした。
「ケンカはダメ!」
その間に入ったのは、この中で一番小さい少女だった。
年下に仲裁されて、二人は恥ずかしく思った。
「二人とも、仲良くだよ?」
そう言って頬を膨らます少女は、知由よりも可愛かった。
「お前、名前は?」
「周莉桜(あまねりお)! えっと、七歳になったよ!」
知由の質問に、こんな満面の笑みで答えたのはきっと、莉桜が初めてだろう。
だいたい顔をしかめられるか、怯えられているから、知由はこの反応に少し戸惑った。
「ついでにあと二人も名前を教えろ。あたしは三崎知由だ」
知由は莉桜から逃げるように、残りの二人に質問を投げた。