探偵喫茶へようこそ
「まず、僕たちはみさきちゃんの行方を探してた。でも、見つからなかった。あんなに可愛い子がいたら誰かしら記憶してるはずなのに、誰も知らなかったんだ」
滋は表情豊かに話していく。
「で、お手上げ状態になってたらゆっきーから連絡が来た。この辺で起きてる誘拐事件の情報を集めてほしいって」
滋は「ね?」と、雪兎の顔を見る。
雪兎は小さく頷いた。
「で、こっちのほうは目撃者がいた」
滋は勝ち誇ったような顔をした。
そして、海はメガネを右手中指で押した。
「……はあ!?」
一方、滋の情報が信じられない刑事たちは声を上げた。
まあ、無理もない。
彼らは目撃者がいないとして捜査を進めていたのだから。
「情報屋。嘘をついたりはしてないだろうな? まして、目撃者捏造、とか」
どうしても目撃者がいた、という情報に納得いかない正広は、滋を睨んだ。
「しないよー。僕にもプライドがあるからね。情報屋としてそんなことはしない」
滋は真面目な表情で言った。
その言葉を疑うものはいなかった。